オーケ・アクセルソン × 緒方​慎一郎 ​

NOMAD × OGATAコラボレーション製品の​ご紹介

OGATAは​スウェーデン家具の​巨匠、​オーケ・アクセルソン氏が​手がける​家具コレクション​「NOMAD​(ノマド)」の​特別限定版を​発表します。​

スウェーデンデザインの​第一人者である​アクセルソン氏は、​1957年から​約70年に​わたり、​図書館や​議会など、​スウェーデンの​公共の​場に​おける​インテリアデザインを​手がけてきました。​彼の​家具は​シンプルで​持続可能、​そして​誰もが​享受できる​「民主的デザイン」の​理念を​体現しています。​スウェーデンでは​長らく​家具デザインの​巨匠と​称され、​彼の​影響力は​静かに​基盤を​築いてきました。​​

アクセルソン氏 : 最高の​椅子、​最高の​持ち運べる椅子を​作りたかったんです。​NOMADを​作り​始めたのは​1970年代。​世界で​本格的に​エコロジーの​議論が​始まった​頃です。​私は​いつも、​どんな​場面でも​エコロジーを​最も​大切な​ものと​して​守ってきました。​若い​デザイナーの​頃から、​環境を​守る​ことを​最も​重要な​責任と​して​取り​組んできました。​ NOMADと​いう​名前は​スウェーデンで​重要です。​遊牧は​動く​暮らし方です。​ すべての​環境は、​もともと​動きの​ある​環境から​生まれています。​私は​家具を、​環境に​合わせられる​機能的で​道義的な​ものに​したいんです。​​

ストックホルム近郊に​ある​アクセルソン氏の​スタジオ

NOMADは、​木材と​布地を​用いた​軽量で​モジュール式の​椅子を​はじめ、​スツールや​テーブルを​取り揃えています。​持ち運びの​しやすさを​考慮した​設計で、​スツールと​テーブルは​瞬時に​折り​畳め、​椅子は​容易に​組み立てと​分解が​可能です。​機能的な​明快さと​洗練された​構造を​兼ね備えています。​ 今回の​コラボレーションは、​アクセルソン氏の​作品を​緒方​慎一郎が​再解釈した​もので、​カーキ色の​オリジナル張地を​使用した​椅子と​複数の​家具を​まとめて​運ぶことができる​キャリーストラップを​発表します。​これらの​製品は​2025年から​日本で​生産されており、​NOMADは、​家具の​可動性や​屋内外の​流動的な​区分けを​特徴と​する​日本文化の​中で​新たな​共鳴を​見出します。​

緒方​: ​私も​日本の​伝統を​どう​未来に​残すか、​世界の​環境に​配慮した​もの​づくりを​どう​続けるかを​考えています。​人間は​たくさん​作り、​環境まで​壊してしまいました。​でも​これからは​環境を​守りながら​作って​生きていく​べきだと​思います。​日本と​スカンジナビアは​似ている​ところが​あります。​自然と​共生し、​人間と​自然が​一緒に​生きてきた​文化です。​
アクセルソン氏 : 日本の​環境に​大きな​敬意を​払ってきました。​多くの​点で、​昔の​スカンジナビアや​スウェーデンの​環境と​通じる​ものが​あります。​シンプルさや​使いやすさです。​ 日本の​環境と、​私が​育った​スカンジナビアの​環境には​親和性が​あります。​機能性が​最も​重要な​特徴です。​

スウェーデンと​日本の​デザインの​結び​つきは、​自然や​無駄の​ない​美しさ、​そして​手仕事に​対する​共通の​敬意に​あります。​アクセルソン氏は​かつて、​日本の​風景が​彼の​故郷スモーランドの​村を​思い出させると​語っており、​両文化が​いかに​生活​空間を​周囲の​環境と​調和させているかを​示しています。​NOMADは、​こうした​二つの​アプローチを​落ち着いた​機能的な​デザインに​よって​融合させています。​ 

 



緒方​ : 私は​日本の​文化を​どう​守るかを​強く​考えています。​ 私は​職人では​ありませんが、​デザイナーと​して​職人を​守り、​長い​時間を​かけて​技を​伝える​手助けを​したいんです。​その​ために​教育プログラムや​カリキュラムを​作る。​学校のような​形に​しないと​残らないと​思います。​日本は​特に​「口伝」が​多く、​マニュアルよりも​見て​真似て、​体で​覚える​文化です。​その​ため工芸などで​伝承が​できていない​ことが​多い。​私は​それを​残すのが​仕事だと​思っています。​ だから​形や​言葉に​して残す必要が​あると​思います。​

緒方​ : オーケは​職人と​して​ずっと​やってきて、​自分の​仕事を​次世代に​どう​継承すべきだと​考えますか?​

アクセルソン氏 : それは​私たちが​すべき​最も​大切な​ことだと​思っています。​今ある​環境の​最良の​部分を​引き継ぐ​ことです。​ですが​今、​世界では​環境が​十分に​注目されていない​ことを​心配しています。​ これは​危険な​流れです。​そのなかで​私は​家具を​作り、​NOMADも​その​大事な​一部と​して​引き継ぎたいと​思っています。​

緒方​:人間は​自分の​都合で​生き、​自然を​壊してきました。​スウェーデンでも​気温が​高く、​世界中で​気候が​おかしくなっています。​ これは​大量生産・​大量廃棄で​環境を​汚染した​資本主義の​結果、​あるいは​罰のような​ものです。​ 壊れた​自然は​戻らないと​思いますが、​それでも​自然との​共存、​自然への​敬意を​もって​生きるべきです。​ それが​私の​コンセプトです。​オーケも​同じ​考えだと​思います。​

アクセルソン氏 : ​私たちは​今ある​環境を​十分に​守れていないことに​不安を​感じています。​未来と、​今ある​環境に​不安を​感じます。​言いたいのは、​今の​環境で​働く​私たちは​未来に​対して​非常に​大きな​責任を​負っていると​いう​ことです。​今生きて​働いている​私たちは、​未来への​責任が​あります。​責任を​もてる​環境を​残さなければなりません。

​ 緒方​ : オーケの​仕事は、​人と​自然の​共存を​形に​してきた。​本当に​尊敬しています。​ここで​話せた​こと​自体、​とても​光栄です。​ありがとう​ございます。​

​ アクセルソン氏 : ​ありがとう。​

オーケ・アクセルソン

オーケ・アクセルソン(Åke Axelsson, 1932年〜)はスウェーデンのインテリア・アーキテクト/家具デザイナー。スモーランド地方の小さな農家に生まれ、ヴィスビー市職業学校(木工/1949〜1951年)を経て、コンストファック(1952〜1957年)でインテリアと家具デザインを学びました。1961〜1967年はエリック・カールストロームと共同で建築・設計事務所を運営。1967年以降はヴァクスホルム、のちにエンガルンの自工房で製作と試作を続けています。これまでに200点を超える椅子モデルをデザインし、図書館、レストラン、博物館など公共施設の内装を多数手がけています。 主要プロジェクトに、スウェーデン国会図書館 (Riksdag Library, 1992〜1996年) 、ストックホルム宮殿「カール16世 グスタフのジュビリールーム」 (1995〜2001年) があります。国連本部ECOSOC会議場には、2023年にGarsnas(ヤシネス) として新設計の椅子「Zen New York」を納入しました。 称号・受賞として、スウェーデン政府より教授の称号 (Professors namn, 1995年) の授与、リンショーピング大学名誉博士 (2022年) 。教育歴としてコンストファック (1970〜1979年) での教員等があります。2003年よりGarsnas(ヤシネス) のパートナー/共同オーナーとしても活動しています。

緒方​慎一郎

長崎県生まれの​緒方​慎一郎は​東京と​パリを​拠点と​する​デザイナーで​ありSIMPLICITYの​創業者。​1998年に​SIMPLICITYを​設立し、​日本の​文化と​伝統に​深く​根ざした​現代に​おける​生活様式の​創造に​貢献してきました。​茶房や​レストランの​ほか、​日本茶、​和菓子、​工芸に​関する​事業を​展開する​ほか、​建築、​インテリア、​プロダクト、​グラフィック、​パッケージなど​多岐に​わたる​プロジェクトに​おける​デザインおよび​ディレクションを​手がけています。​
自身の​仕事の​成果を​幅広い​国際社会と​共有する​ことを​目的に、​2020年に​OGATAを​設立しました。​

photo credit: Nicolas Fabre